44マグナムをぶっ放す刑事と言えば… やはりクリント・イーストウッドが演じた「ダーティーハリー」のハリー・キャラハン刑事ではないでしょうか。しかし日本にもダーティーハリーに負けないマグナム44 をぶっ放す刑事がいたんです。

大都会PART III(1978年10月3日〜1979年9月11日まで)で寺尾聡(1947年5月18日生 当時31歳)が演じた牧野次郎刑事・ジローが手にしているのは異例の銃身の長さを持つS&W M29 44マグナム 8 3/8inchである。

その後、西部警察(1979年10月14日〜第124話 1982年・春 松田刑事・絶命!1982年3月28日放映まで)で松田猛・リキ役でも44マグナム8インチをぶっ放していました。

そんな中、私たちの目の前にとんでもないモンスターGUN片手にヘリコプターで宙吊りになりながらその銃をぶっ放す刑事が登場した。

西部警察 PART IIとIII(1982年5月30日〜1983年5月15日「沖田刑事・絶唱!」まで沖田五郎・オキを演じていた三浦友和(1952年1月28日生 当時30歳)である

彼が手にしているのはS&W M29 44マグナム PPCカスタム 6.5inchだった。

特徴的なのはやはり太い径のラウンドバレルと三本山型のフロントサイトである。

このM29PPCカスタムを構えた時、俳優の顔とこのラウンドバレルと山型のフロントサイトがバシッと決まるとメチャクチャ絵になるのだ!

横から見るとラウンドバレルには「MGC CUSTOM GUN WORKS」の白い刻印。

オキは犯人との銃撃戦の際にM29PPCカスタムのホルスターはジャンパーの上から装着したり、その後、ホルスターをそのまま手に持ち銃撃戦をするシーンもあった。

更にM29PPCカスタムが大き過ぎて演技に支障が出たのか、オキのキャラクターに合わないと判断したのか、シリーズ後半ではコルトパイソン4inchの木製グリップに変更していた。

そして、沖田の秘密は「PART II」第3話で木暮捜査課長が知って大門に伝え、「PART III」第5話で南が知り、「PART III」第6話で軍団全員が知ることに。

病状が悪化し、死期を悟った沖田は最後の事件を解決すると、警察手帳とコルトパイソンを大門に返却すると、敬礼し、行き先も告げずに去って行った。その後、ひとり吹雪の中を行く姿が目撃されているが、遺体も発見されず死亡報告も無いまま、完全に消息を絶つ。自らの都合による辞職ゆえに最終階級は「巡査」となる。

1人目のMGC S&W M29 PPC カスタム6.5inch を愛した刑事は沖田五郎だった。

そして2人目のM29PPCカスタム刑事は、沖田刑事が西部署を辞職後、後任として西部署にやって来た、西部警察PART III「大将がやってきた!」(1983年5月22日放映)〜最終回「西部警察スペシャル 大門死す!男たちよ永遠に」(1984年10月22日放映)まで柴俊夫(1947年4月27日生 当時37歳)が演じた山県新之助・タイショーである。

後半からM29PPCカスタムを使わなくなったオキに変わり、タイショーがイッセイ・ミヤケブランドの上下つなぎ姿で犯人と闘っていた。

実家は教会で父親は神父。意外ではあるが、その父親もいざとなると「目には目を歯に歯を」と言い出す始末なので、やはり血筋は争えない。

幼なじみで家族ぐるみの付き合いの美人歌手・サリーとはフィアンセ同然の関係だったが、西部警察PARTIII 第16話「大門軍団フォーメーション」(1983年8月21日放映)暴走族グループのボス・皇帝らに山県への復讐として殺害されてしまう。

この回は木暮の発案で最新科学の粋を集めた”スカイラインRSターボ”2機が新たに大門軍団に配備され、それぞれマシンRS-1、2、3と命名されたマシンRS3兄弟のデビュー編である。

そして3人目のM29PPCカスタム刑事は、太陽にほえろ!に第562話「ブルース刑事登場!」(1983年7月15日放映)で又野誠治(1960年11月25日生 23歳から27歳まで澤村刑事を演じていた)が演じた澤村誠・ブルース刑事である。余談であるが又野誠治は山口県岩国市出身。晩年は東京都杉並区で飲食店「Aサイン」を経営していたが、2004年3月23日夕刻、店で倒れているのを発見され、病院に搬送されたが死亡が確認された。43歳没。

ジーパン刑事を彷彿される様な風貌とキャラクターであるかに思えたが、登場から44マグナム8インチを持ちバイオレンス刑事として、無口で野生的、ボクシングで鍛えた体でシャープなパンチを繰り出すハードなキャラクターの刑事であった。

ところが登場して3作品目で第565話「正義に拳銃を向けた男」(1983年8月5日放映)ブルース刑事主演回では今までの太陽〜では出てこなかったであろうM29PPCカスタムをブルース刑事は手にしているではないか。ちなみに西部警察では44マグナムだろうが、ショットガンだろうがリアルな銃の設定は無視されていて、撃たれた犯人のリアクションはどの銃も同じであるメルヘンな演出なのだが、太陽〜は昔から44マグナムの破壊力など銃の特性をちゃんと物語の中でも設定説明されている。だから、太陽〜のブルース刑事がこのモンスターGUNを持つ意味とは…「拳銃は殺人凶器じゃない。ブルースの拳銃哲学とは」

ブルースの使用拳銃は銃身が長く、凄まじい破壊力を持つ。犯罪者といえども銃で無闇に人を傷つけたくないという優しい気持ちから、逆に威嚇射撃では最大限の効果を発揮させるためにこのM29PPCカスタム(後にまた44マグナム8インチに戻る)を使用している。ちなみに同じ”誠”がつく石塚誠刑事・ゴリさんも射撃の名手としてのキャラクター設定がされているが命の重さは拳銃の弾丸一発の重さとも関わりを持っていて、ゴリさんは普段は拳銃に弾丸をこめていない。ゴリさん主演作品でもこの拳銃またはライフルの弾一発の重みをテーマにしたものが多い。そんな太陽〜カラーの中で西部警察でもぶっ放されていたM29PPCカスタムが登場する事が始めは驚きではあったが、ブルースのバイオレス的なキャラクターが実にマッチしていて当時の太陽〜を楽しませてくれていた。その後、ブルースのキャラクター設定もあやふやになり、単にバイオレスな刑事になっていった様な…(笑)

西部警察のメルヘンな演出で有名な話をひとつ。同じPPCカスタムを持つ鳩村刑事。鳩村のGUNはコルトパイソンのPPCカスタムである。西部警察PART II第16話「追撃」(1982年10月3日放映)ではラストの銃撃戦でハトとオキが拳銃の弾を分け合うシーンがあるが357マグナムと44マグナムでは口径が違うのでそんな事が出来るはずは無いのだが、そこは西部警察の世界観(笑)ツッコミは無しで(笑)でもその後、流石にファンからの指摘があったのか、オキはハトと同じコルトパイソンになり、その後の弾の分け合いは問題が無くなったとか。

当時、子供だった私は高額なモデルガンを買うことも出来ず、知識も無かったのでテレビの中で大門団長やオキやハトが持つ拳銃を傘で表現しながら遊んでいたが、大人になると色んな情報を得ることも出来、何とか幻の西部警察PART II大門グリップバージョンのレミントンやM29PPCカスタム、コルトパイソンPPCカスタムの三種の神を、手にする事が出来た!厳密に言うとレプリカなので細かな違いはあるけど、私はガンマニアでは無いので西部警察の世界観がこのアイテムで演出するには十分な収集結果である。もしかしたら本物が手に入るチャンスがあるのでは… と期待して今日もまたネットオークションを見るのであった(苦笑)

2020.11.28.y.55000ppcマグナムレプリカ